Weekly Report
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「楽しく一緒に気分よく」
東京六本木ロータリークラブ会長
令和5年9月4日発行 第764号
2023・2024年度 No.8
卓話『皇室外交よもやま話』
東京六本木ロータリークラブ 苅田 吉夫会員
場所:グランドハイアット東京
クラブからのお知らせ令和5年8月28日
会長挨拶
皆さんこんばんわ。納涼夜間例会にご参加ありがとうございます。ゲストの秋津佳壽子様、多田野祐子様、中野稜子様ご参加くださりありがとうございます。
毎日本当に暑い日が続いていますので、今夜は是非納涼のひと時をお楽しみください。
この企画をしてくださいました、平川親睦委員長始め委員の皆様に感謝を申し上げます。今年度の親睦活動の目玉になるイベントですので、船内での出し物も工夫を凝らしていただきました。
それでは皆さん、短い時間ですが船旅を楽しんで下さい。
(記:鳥居会長)
幹事報告
- ロータリー囲碁同好会より秋の第21回ロータリー全国囲碁大会のご案内です。
基盤を通じて国際交流と親睦を図る会ですので、囲碁好きの会員の皆さま、参加されてはいかがでしょうか。日時は10月21日土曜日、登録開始9時30分、10時開会となっております。会場は東京市ヶ谷の日本将棋本院1階対局室、参加料は7,000円です。 - ポリオ根絶チャリティゴルフ募集期間延長のお知らせです。
10月16日月曜日、東京よみうりカントリークラブにて開催予定のポリオ根絶チャリティゴルフですが現在100名程のお申し込みがある様ですが、より盛大なゴルフ大会とするため募集期間を延長して更に参加者を募る事になりました。
新しい締め切りは9月8日となっております。また1クラブ2組8名までの制限は解除となっております。
ご参加ご希望の方は共に事務局までお申し出ください。
(記:三田幹事)
2023-24年度 納涼夜間例会 報告
2023年8月28日開催の、今回の納涼夜間例会は、今までの宴会場から屋形船に場所を移し、28名の皆様にご参加いただきました。参加者の皆様にはプログラムとロータリーソングを両面に貼ったうちわと池田副委員長に作成いただいたペンライトを手にご乗船いただきました。
「潮風を感じながら古典芸能の夕べ~猛暑をぶっとばせ!」をテーマに、池田副委員長の司会のもと、平川親睦活動委員長の開会挨拶、
安部親睦委員のゲストのご紹介を経て、苅田会員の乾杯のご発声にて、食事が始まりました。
幸い心配していた台風10号の影響もなく穏やかなお台場沖の海の上、掘り炬燵式の広々としてクーラーが効いた船内で、陶板焼きのステーキ、揚げたて天ぷらなどをビール、ワイン、日本酒などで楽しみました。
食事の合間に船の甲板に出て潮風を楽しむ参加者もいました。
1時間ほどの飲食の後、本日のメインイベント「古典芸能」の始まりです。まず初めに、春風亭一朝一門で春風亭一之輔師匠のおとうと弟子の春風亭一猿さんの、上方では「兵庫船」江戸では「鮫講釈」でお馴染みの噺を楽しみました。軽妙洒脱な語り口から、途中畳み掛ける様な講釈の場面など皆さん熱心に聞き入っていました。
次に、小唄春日流の春日とよ艶子花師範に「川風につい誘われて」と「お互いに」を情感たっぷりに唄っていただきました。
ここでサプライズゲストの登場です。
師範の三味線で、芸名「春日とよ花俊」こと角山会員には心に響く「よりを戻して」と「味」を唄っていただきました。
続いて「春日とよ栄芝のお弟子さん」の宮下会員には余韻の残る「巽よいとこ」と「虫の音」を唄っていただきました。
お二人の唄に皆さん聞き惚れていました。更に突然のリクエストにより、7年前に少し小唄を習っていたことがある平川も「粋なからす」を唄わせていただきました。
この後、9月1日の防災の日も近いということで「防災手ぬぐい」を配らせていただき、それを使って堀井親睦委員に判り易く防災講和をしていただきました。備蓄するべき水の量などの意外な盲点や気を付けるべきポイントなど皆さんハッとする場面もあり、改めて防災の意識を高める機会となりました。
そして、松島会員に中締めのご挨拶をいただき、楽しく過ごさせていただきました2時間15分の屋形船での納涼夜間例会が終了しました。
ご参加いただきました会員、ゲストの皆様、本当に有難う有難う御座いました。
(記:平川親睦活動委員長)
2023-24年度 第2回理事会議事録令和5年8月7日
- 日時:
- 2023年8月7日(月) 13:35-14:30
- 場所:
- グランドハイアット東京2F「レジデンスアニス」
- 出席者:
- 〈理事〉鳥居・松島・齋藤・小篠・谷口・三田
- 〈理事会構成メンバー〉髙栁・今村・小笠・堀井・池田・平川(議事録)
- 欠席者:
- 鈴木・岩成・宮永
(敬称略)
三田幹事より開会の辞、鳥居会長より開会の挨拶があった。
【審議事項】
細則第4条第5節 理事会の定足数(理事会の定足数は、理事総数の過半数とする)に基づき 理事9名出席6名につき過半数の出席により理事会は成立した。
①年会費値上げの件
・年会費を、通期40万円にすることについて、賛成多数により承認された。2024年1月より2万円値上げして半期20万円を請求することとする。
・8月21日例会時に臨時総会を開催し会員に主旨を説明する。
②RYLA推薦の件
・榊原光星さんと林田梨紗子さんの推薦が賛成多数により承認された。
・推薦にあたり、一人当たり3万円計6万円の費用をクラブで負担する。
③地区役員就任依頼の件
・齋藤明子会員に対する2024-2025年度の地区青少年奉仕委員長就任依頼が、賛成多数により承認された。
【協議・報告事項】
①20周年記念実行委員会からの報告
・髙栁実行委員長より、委員会の基本方針について説明があった。
・委員会のメンバー構成は次の通り。(敬称略)
実行委員長 :髙栁公康 副実行委員長 :片岡雅敦
記念事業推進委員会 :安井悦子 副委員長 :松島正之
親睦担当委員会 :今村道子 副委員長 :髙倉太郎
総務・庶務担当委員会 :鈴木聡子 副委員長 :次年度会計担当
広報担当委員会 :齋藤明子 副委員長 :柏原玲子
記念例会担当委員会 :渡辺美智子 副委員長 :荒木裕子
以上の構成で、検討した内容などを随時、今年度・次年度理事会にて共有し、承認をもらいながら運営する方針である。
・式典基本コンセプト(案)「共に築く未来、優しさを誇れる幸福」
・式典開催日(予定)2025年1月27日 会場ボールルーム 人数300人程度
・式典(案)は講演、式典、祝賀会の3部構成で、17時から3時間程度
9月までに基本コンセプトの決定及び企画内容検討開始する。
現在、祝賀会にて小篠会員のファッションショー開催の案あり。
・記念事業については、年内に決定予定。
・浅田パストガバナーより、20周年記念事業として「バリアフリーマインドロータリークラブ」を子クラブとする案が提案された件については、実行委員会ではなく、理事会にて決定すべき内容なので、審議してほしい。
(意見)既に存在し、所属グループも違うクラブを子クラブとするのは20周年事業にはふさわしくないので、記念事業化する必要はないのではないか。
この件について審議が行われ、今回は見送りとすることが賛成多数により可決された。
②2022-23年度決算報告の件
・小笠会計より、一般会計、ニコニコ会計及びミクロネシア会計について決算書に基づき説明があった。
・谷口理事より、前年度夜間例会時の会費の徴収が一人あたり5,000円多かったので会員に返金をする旨、説明があった。
③卓話者源泉徴収の件
・小笠会計より、クラブ発足当初より卓話料及びイベント出演者の謝礼から源泉徴収をしていなかったが、今期から源泉徴収をしていきたい旨説明があった。
・原則、源泉徴収後の端数の出た金額をお渡しすることとする。
・一人あたり5万円を超える場合は、支払調書を発行する必要がある。
・消費税については税込金額という解釈をしていきたい。
・ロータリー関係者については、前期より謝礼は支払いをしていない。お菓子等の記念品をお渡しするのみ。
・ロータリー関係者以外が、謝礼をニコニコ会計に寄付したいというご要望を述べられた場合いは、謝礼は初めからお支払いしなかった扱いにする。
・実際はロータリー関係者以外がニコニコ会計への寄付の申し出をされることはないのでニコニコ会計の存在の案内はしないことにする。
④その他
・谷口理事より、11月のクラブ創立記念日例会の卓話者は直木賞作家の「山本一力」様にお願いする予定であることが報告された。
・三田幹事より、後期より出欠を細則通り管理することにしたい旨、説明があった。それに伴い、必要に応じてメイキャップをして貰うこととする。
以上
(記:三田幹事)
マウラー 裕子会員 イニシエーションスピーチ令和5年8月21日
- 私の略歴、英語との関わり
- 大学で英語を教える
- 大学院で学んだこと
- Q-Leap株式会社の英語講師として
- 趣味
- 最後に
六本木ロータリークラブの皆様に温かく迎えていただき、大変うれしく心強く感じています。
私をご推薦くださった淺田豊久様、安井悦子様、心よりお礼を申し上げます。
私は山形県出身ですが、東京にはもう半世紀以上住んでいます。
私が10代後半を過ごした1970年代は、日本が世界に出て行こうとしている時代でした。1970年の大阪万博の全国的な盛り上がりは、最近のそれとは隔世の感があります。
私にとって、英語は音声としても好きですが、世界とつながる最重要ツールとして絶対に身につけておくべきものと位置付けていました。田舎の高校生だった私には、声に出して会話練習をする術は、NHKラジオ英会話ぐらいしか思いつきませんでした。そんな中、NHKラジオ英会話の講師だった松本亨先生を知り、東京での夏期講習を通して、英語を話せるようになることに夢中になっていました。「大学に行っても英語は話せるようにはならないよ」という先生方の言葉に動かされて、英語の専門学校に入学しました。
その後、夜は英語の学校に通いながら、大学の社会学部を卒業し、米国メルク社の日本法人に就職しました。リード・マウラーは、そこの会長でした。1982年に、ロータリー財団の奨学金をいただき、ハワイ大学大学院に留学しました。そこで大学院レベルの英語での読書量に圧倒されました。話すことはできたものの、大量の宿題をこなすために本を読みこなさなくてはならないのですが、毎日、数十ページ単位で専門書を読むのは至難の技でした。そんな大量の専門書を読んだことなど、日本ではなかったからです。留学中に、ホノルル市内の老人ホーム、そしてマウイ島のロータリークラブ例会で、スピーチをいたしました。念願かなったアメリカ大学院留学、最初の年は、美しいハワイの海岸にもほとんど行かず、自由時間は図書館に行って予習、復習、宿題の日々でした。それだけ勉強が大変だったということです。二年後に修士号を取得、そしてその後、すぐに結婚しました。
三人の子供を育て、子供たちの学校では、PTAに積極的に関わり、役員を十年に渡り務めました。毎年夏休みは子供をハワイの現地校に通わせるために、2ヶ月ホノルルで過ごすことが恒例でした。子供達が学校に行っている間、母校のハワイ大学の夏期学期で、興味のあるもの、例えば、新約聖書、キリスト教と仏教、美術史、線描画、油絵、水彩、テニスなどで、正規の単位を取得していました。時間を無駄にしたくない、常に向上したい、という気持ちがこういった行動の裏にありました。
私が54歳の時に、知人から、「私はリタイアしたいので、代わりに英語講師として教えていただけないか」と打診され、引き受けることになったのが、英語講師としての始まりです。そのすぐ後に読売新聞で、鳥飼久美子さんの記事を読み、ニューヨークにあるコロンビア大学ティーチャーズカレッジが東京にあるということ、彼女がそこを卒業したことが書かれていました。「これは、もうやるしかない!」とすぐに思いました。英語を教えるなら、TESOL (Teaching English to Speakers of Other Languages) つまり、英語を母国語としない人に英語を教える、という専門の資格を取るべきだと考えました。そうして2014年5月に、ニューヨークのコロンビア大学で修士号の卒業証書をいただきました。主婦と教師をしながら大学院の授業と宿題をこなしていくのは、大変でした。夫にも提出物の英語の正確性をよくチェックしてもらったものです。
大学では何を教えていたかというと、主にReading(1年生)とWriting(2年生)でした。青山学院大学国際政治経済学部担当でした。2年生のライティングは、英語研究論文の書き方をみっちり鍛えるものでした。私は学部の6つの英語レベルの一番上のクラスが担当で、帰国子女、英検1級保持者などは毎年、クラスの18人中、4~5人はおりました。英語は基本的に上位成績者は問題なく話せるのですが、研究論文は書いたことがないため、研究課題の見つけ方、考え方、リサーチの仕方、文献検索方法、英語論文の構成、参考文献の書き方を、がっちり指導して身につけてもらおうとしました。
大学1年次では、英語のパラグラフとはどういうことが条件なのか、トピックセンテンスでそのパラグラフで言いたいことを書き、それをサポートする文が必ずあること、まとめの文があること、次のパラグラフに繋げるいい終わり方をすること、などを履修します。
大学2年次では、1年次にパラグラフの書き方を学んだという基礎の上に、英語で論文を書く方法、その実践を行います。まず、研究したい課題を決めます。Brain storming, mind mappingなどを使用します。その後、文献を集め、読み、研究課題に対する仮説を立てます。それを検証する実際のリサーチ方法を決定します。インタビュー、アンケート、実地調査などです。リサーチ結果に基づき、統計的結果を出し、結論を導き、論文を書きます。参考文献の書き方の決まりは特にうるさく言いました。社会科学系はAPA(アメリカ心理学会)の参考文献のフォーマットを使用するのが主なので、APAルールの正確な書き方をしつこく行いました。例えば、著者名は苗字のアルファベット順で、名前の方はイニシャルのみ、その後にピリオドを打つ。といった決まりです。
毎週、負荷の大きい宿題を提出させましたが、学生はそれにしっかりと応えてくれ、年末には2年生とは思えない内容の研究論文を提出してくれます。私が19歳の時とは比べようがないくらいの英語力、思考力、分析力、リサーチ力を持った学生が多く、大変誇りに思います。今の若い人たちは本当に実力ありますね。素晴らしいです。論文を書いていく上で、第一ドラフト、第二ドラフトと下書きを改良していく過程で、Peer reviewとして、クラスメートの論文を読み、一定の評価基準(rubric)に従って、評価し、コメントをつけるという校訂を何回か入れます。これは大変に重要なプロセスで、学習効果も非常に高く、学生のモチベーションも保たれると思いました。お互いにどんなリサーチをし、どのような結果が出て、どんな論文を書いているのかを知ることができますし、自分がやっていることと比較検討ができます。
学生からは、非常に良かった、というコメントをもらいました。大学では英語でのレポートを書くことが多いのですが、私の授業が、そういった時に大変役に立ったと言ってもらえました。
コロンビア大学の英語教授法のカリキュラムでは、英文法、英語音声・音韻学、統計学、教育理論、学生と教師間のコミュニケーション、クラスのマネジメント、社会言語学、教育実習、第二言語習得理論、語用論、英語4技能の教え方、などでした。中学、高校の教員養成のための単位に必要な科目とはだいぶ違っています。
大学で教えることと同時に、コロンビアの同窓生がビジネス英語の会社を作り、私はそこから色々な企業の英語研修を担当させていただいております。ウォルマート・西友、太陽工業株式会社、現在は、東証一部上場会社会長を担当させていただいています。中央大学ビジネススクールでも、夏学期を担当いたしました。
夫はお花がとても好きで、家にお花がなかったときは、自分でスーパーに行って、990円の花束を買い、そのまま花瓶に入れてテーブルの上に飾っていました。それではあまり素敵ではないので、私がお花担当となりました。草月のクラスに数年通って、名前も先生の1文字をいただき、「青樹」という名前を持っています。インスタグラムでは、freeyrheartのアカウント名で、私のいけばなを発表していますのでご覧いただけますと幸いです。また、Streamer Coffee Company(麻布十番)というカフェからの依頼で、1ヶ月に一回、お店にお花を活けています。けやき坂を下り、TSUTAYAを右折してちょっと歩くと右手にあるカフェです。
テニスは40歳から始めて、20年以上、プレイしています。夢中でやっていた頃は真っ黒に日焼けしていました。最近はあまりしていませんが、秋にはまた復活する予定です。
NHK国際研修室で、通訳の訓練を受けておりました。通訳の機会をこれから少しずつ増やしていきたいと思っています。また、来年には、全国通訳案内士試験を受験しようと思っています。世界に向けて日本の良さを知ってもらうための仕事をする何かの助けになるのでは、と考えております。
もっともっと書きたいことはございますが、それは徐々に知っていただくということにしたいと思います。
ロータリーを通して、昔いただいた恩返しをできたら、と思っております。
どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
最後に、2年生のライティングクラスを履修したある学生から、最後の授業の後にメールをもらいました。それをシェアさせてください。
「先生のもとでリサーチペーパーを書くのは容易なことではなかったけれど、おかげさまで構成がそれなりにしっかりしたものを書けるようになったし、私は、しっかりペーパーをチェック、評価していただけたことがとても嬉しかったです。一年生の時は、頑張ってもいい評価がもらえず、どこを直せば良いかもはっきりと教えてもらえなかったので、ライティングの授業が嫌で嫌で仕方ありませんでした。
先生のおかげで、大嫌いだったライティングも、自分の好きな分野になりました。前より立派なものを書けるようになってる!!!という実感ができ、リサーチペーパーを書いていてとても楽しかったです。
今までで一番ためになった授業でした。
まだ私の能力は低いものですが、学んだことを生かして卒業論文も英語で書ければ良いなと思っています。
では、長々と失礼いたしました。
1年間ありがとうございました!」(原文のまま)
卓話『United States Litigation: What To Know About US Litigation and the Approach of Japanese Companies』令和5年8月7日
クイン・エマニュエル外国法事務弁護士事務所 マネージング・パートナー 東京オフィス代表 ライアン・ゴールドステイン様
1989年、当時の日本はバブル景気の真っ只中で、NYのタイムズスクウェアには日本企業のサインが数多く掲げられていました。私は日本というアジアの国の隆盛に興味を持ちましたが、私の通っていた公立高校では日本はおろか、アジアについて学習することはありませんでした。そこで、私はダートマス大学に進学し、日本をはじめとしたアジアの歴史を専攻し、文部省(※当時。現在の文部科学省)から奨学金をいただいて早稲田大学で勉強させていただきました。
その後、私はハーバード・ロースクールを経て、勝訴率89%、「対峙したくない四大法律事務所」に選出された、世界に33の拠点を置くクイン・エマニュエル法律事務所へ所属。トライアルローヤー(訴訟を専門とする弁護士)となりました。トライアルローヤーとは、皆さんが映画でご覧になるような陪審員の前で舌戦を繰り広げる弁護士です。ちなみに、アメリカの訴訟はあのような訴訟となる前に、ほとんどが和解などにより解決します。
私は東京オフィス(外国法事務弁護士事務所)の代表として日本企業の代理を務め、訴訟や国際仲裁に従事しています。入所以来、25年余り、日本企業とともに頑張らせていただいている経験を踏まえて、アメリカの訴訟のいくつかの特徴と日本企業の留意点等をお話いたします。
まず、日本企業がアメリカの訴訟で嫌がるのは陪審員の存在です。
ご存じの通り、日本にも裁判員制度はあるものの、「訴訟に詳しくない人」の判断に対する不安があるのか、裁判官による判示を欲する人が多いように思います。これはアメリカと大きく違う認識かもしれません。というのは、例えば、これまで約1000回の刑事訴訟を担当した裁判官がいたとします。999人が有罪で、その中には罪を認めている人もいれば、「絶対に無実」と訴えても、有罪になっている人もたくさんいます。そして、次はあなたの裁判ですが、999人を有罪にしてきたその裁判官であれば、「次も有罪だろう」と考えるのが自然ではないでしょうか。
一方で、陪審員は、その裁判は一生に一度の経験かもしれませんし、数回かもしれませんが、数少ない経験をもとに判断します。どちらのほうが公平に、客観的に聞いてくれるでしょうか。有罪か無罪かを陪審のみで判断することに重大な責任を感じている陪審員に聞いてもらいたいというのがアメリカの考え方です。
ちなみに、日本の裁判員制度は裁判官3人と裁判員6人で構成され、全過程に一緒に関わるため、裁判員は意見することが難しくなっているのではないでしょうか。
さて、アメリカのドラマ等では、訴えられるとすぐ裁判が行われているように見えますが、実際はあり得ません。アメリカの訴訟は平均すると3年ぐらいかかります。最初の手続きが2ヶ月、最後の裁判で2ヶ月、間の2年半は証拠開示をしています。これは、お互いにどういう証人や証拠、証言があるのかを全て提出しなければならないというアメリカの独特なシステムです。トランプに例えると、互いの札をすべて見せてからゲームをしましょうということです。
それはなぜか。イギリスから独立した時、どんな証人が来て、何を言われるか分からないまま裁判をしなければならないというイギリスのシステムに対して批判がたくさんありました。それはアンフェアだから、最初から全て提出しましょう、情報を交換しましょうという現在のシステムができたのです。
私が弁護士になる以前のタイプライターの時代と違い、現在は電子データや電子メールなどを全て提出しなければいけないので、かつてと比較して提出量は20倍30倍となりました。そのため、証拠開示には平均3年間という期間の中で最も時間がかかります。
Apple対Samsungの特許訴訟において、Samsungの代理として担当した時、Appleは年に1回新しいモデルを発表していましたが、Samsungは毎年30ほどのビジネスモデルがあったために証拠開示だけで大きな費用がかかりました。
証拠を全て提出しなければならないという義務を遂行することが非常に大変でした。企業同士の訴訟では、「証拠開示による負担はお互いに大変である」等の「お互い様」や「痛み分け」等という共通認識を持てれば、提出する証拠を減らすことができるのですが、交渉が決裂すれば、全て自分の負担で証拠を提出しなければなりません。また、その負担の大きさをあえて攻めてくる場合もたくさんあります。
このシステムの弱いところは、当事者にとって、その訴訟にメリットがあるのかわからない段階で、証拠開示の負担の大きさに怯んでしまい、和解してしまうことです。2億3億円かけて戦うのか、1億円で早めに和解するのかという合理的な決断は、フェアな判断とは違います。合理的な判断に基づいて和解した訴訟でも、そのまま訴訟を進めていれば勝訴した可能性もあるのです。アメリカの訴訟では証拠開示によって事実が明らかとなり、自らが保有する特許の価値等もわかるのです。
ちなみに、証拠開示は日本法にはありませんので、訴訟となっても相手の情報を得ることができません。日本企業は素晴らしい特許権をいくつも保有していますから、アメリカの訴訟を上手く活用してその強みを生かすことができたらいいと思います。
そして、デポジションとは、証人が裁判所以外の場所で、記録を取られながら証言するという手続きです。この記録は訴訟で使用します。証人は、訴訟で対峙する相手方の弁護士から様々な質問を長時間にわたって受け、発言の全てが記録されるため言い逃れはできません。
クリントン大統領のデポジションの時もモニカ・ルインスキーに対することを全て聞かれました。またビル・ゲイツのデポジションも有名です。証人が長時間尋問されるという大変な手続きであるデポジションでは発言だけではなく、証人の態度まで見られます。
また、裁判で、証人がデポジションで話したことと違う証言をすると信頼を損ないます。このため、相手方がこのような事態に陥れば、自分たちの勝訴につながることもあるのです。
ちなみに、アメリカの訴訟プロセスであるデポジションを、日本国内で行う場合はアメリカの大使館でしかできません。
ここまでお話した通り、アメリカのシステムの大きな特徴は証拠開示と陪審員裁判です。陪審員は一般常識に基づいて判断をしてくれるでしょう。そして、その裏では法律の専門家である弁護士たちが証拠開示などの大変な作業をしています。これらは日本とは異なるシステムですが、これより全てが公になり、正しい判断をもたらす材料が揃えられていることを理解していただけたらと思います。
ご清聴ありがとうございました。
8月28日のお食事
8月28日の例会出席率(暫定)
- 会員の例会出席数(出席率) 23名(43%)
- ゲスト・ビジターの参加者数 3名
※メーキャップを含めていない暫定の人数です。
次回のプログラム
令和5年9月11日
ガバナー補佐訪問
卓話『宮崎年度の方針と、数字で知る現在のロータリー』
RI第2750地区 山の手東G ガバナー補佐 尾関 勇様
場所:六本木ヒルズクラブ